フライングタイガーライン資料室
FLYING TIGER LINE Memorial Exhibition

最近では「FLYING TIGER」と聞くと、北欧系の雑貨店を思い浮かべる方も多いかと思われますが、
エアライナーファンにとって「フライングタイガー」「フラタイ」とは空港貨物エリアに駐機する銀色の貨物機ではないでしょうか。

かつて世界一の貨物機運航規模を誇り、羽田のち成田、伊丹、横田、嘉手納等に数多く飛来したフライングタイガー(FTL)ですが、
1989年にFederal Express(FedEx)に買収され、惜しまれながらその姿を消しました。

航空貨物業界関係者にとっては、広胴ジェット貨物機を用いた近代的なPallet Loading Systemを構築した先駆者であり、
FTL社は現在でも敬意を持って語られています。

本展示室では別館特別企画としてフライングタイガーに関する資料を展示しております。

*2015年5月に横浜みなとみらいギャラリーにて開催された「WE LOVE AIR TRANSPORT」展(マルヨンの会主催)にて
 羽田空港におけるFLYING TIGER機の素敵な写真を拝見させて頂いたことから本企画を着想しました。

 

ANYTHING, ANYTIME, ANYWHERE

 

Geminijets 1/400 model BOEING 747-100F Old style company title, "Circle T" tail logo, Temporary "Shark Mouth" livery

 

FLYING TIGER 運航の歴史
Operational history of Flying Tiger Line

1945年6月 NATIONAL SKYWAYS FREIGHT CORP.として設立(拠点 Burbank Airport, LAX)
          翌年社名をFLYING TIGER LINE(FTL)に変更

1950年  朝鮮戦争勃発に伴う太平洋線軍需物資空輸
       (MATS:Military Air Transport Serviceチャーター)にて日本寄航開始(C-54)

1957年3月 Lockheed L-1049H Super Constellation導入

1961年7月 Canadia CL-44D導入, SWING-TAIL方式による貨物搭載

(1964年8月 北ヴェトナム沖にてトンキン湾事件勃発、米国によるヴェトナム戦争本格介入)

1965年 ジェット貨物輸送機 BOEING 707-300C導入

(1966年1月 米空軍組織改変によりMATSがMAC:Military Airlift Commandに改称)

1968年 DOUGLAS DC-8-63F導入

1969年  太平洋線定期便運航認可取得(MAC復航便の貨物積取許可)
        社名をTIGER INTERNATIONALに変更

(1973年3月 米軍南ヴェトナムより撤退完了、ヴェトナム戦争終結)
        以降MACチャーター需要が急減

1973年4月 Federal Express(FDX)が運航開始(小型BIZ JET機を用いた米国内線夜間COURIER輸送)

(1973年10月 第1次石油危機により世界経済停滞、貨物需要急減)

1974年8月  PAN AMより747貨物機Conversion Freighter 747-100F(N800FT)をLEASE導入

1974年9月 747-100F定期便 東京国際空港(羽田)に就航

1975年3月 カンボジアPhnom Penhに救援物資チャーター(Rice Lift operation)

(1977年9月 米国議会による貨物エアラインに対する運賃自由化・参入規制撤廃法案可決(航空規制緩和政策))

(1978年5月 新東京国際空港(成田)開港(羽田より移転))

1979年10月 747純造貨物機Pure Freighter 747-249F(N806FT)を導入

1980年10月 米国第2位の貨物エアラインSeaboard World Airlines(SEW)を買収
           貨物機運航規模世界第1位(747F X 16, DC-8F X 23)

1981年1月 旅客チャーター部門Metro International Airlines設立(1983年運航休止)

1982年   貨物輸送ランキング世界第1位

1980年代半ば DOUGLAS DC-8-73Fを導入

1985年4月 騒音規制によりDOUGLAS DC-8F米国への定期便乗入れ禁止

1985年 Facts
  従業員数 6,400
  Fleet 747-200F/C X 11, 747-100F/C X 8, DC-8-63F X 3, DC-8-73F X 5, 727-100C X 9
  太平洋線貨物定期便運航便(Weekly) FTL 29, JAL 12, Northwest Cargo 12, NCA 9


 
1988年12月 Federal ExpressによるFTL買収発表

1989年8月 Federal ExpressによるFTL統合完了
          貨物機については一定期間塗装を変更せずNon Titie運航を継続

1993年 元FTLのVeteransによりPOLAR AIR CARGO(PAC)設立
      当初はSOUTHERN AIR(SOO)およびGECASのJ.Vであったが現在はATLAS AIR(GTI)およびDHLのJ.V

 

 (JCAL当会蒐集資料)

FTL エアラインバッグ
"FTL Airline Bag", Flying Tiger Line

FTL 灰皿 25周年記念製作品
"FTL Ashtray, 25th Annivesary of Air Freight", Flying Tiger Line, 1970

運航開始25周年を記念して製作された灰皿です。外周部には歴代のFTL運航機材が描かれています。


 1945  BUDD CONESTOGA (海軍払下げ輸送機)
 1946  DOUGLAS C-47 (DC-3)
 1947  DOUGLAS C-54 (DC-4)
 1949  CURTISS C-46
 1953  DOUGLAS DC-6
 1957  LOCKHEED CONSTELLATION
 1961  Canadia SWING TAIL CL-44D
 1965  BOEING 707
 1968  DOUGLAS SUPER DC-8 (DC-8-63)

FTLステッカー
"Sticker, Face of Tiger", Flying Tiger Line

「フライングタイガー」といえば「虎の顔」です。ステッカーも虎をモチーフにしたものが多数在ります。

FTLステッカー
"Sticker, Jumping Tiger over Red Sun", Flying Tiger Line

戦闘機部隊のマークのような、旭日を背に躍動する虎が描かれています。

米空軍軍事空輸軍団(MAC: Military Airlift Command)のチャーター貨物便を運航していたFTL社では
自らも空軍輸送機部隊の一翼であるといった気質が色濃かったようです。

一時期のFTL社DOUGLAS DC-8FおよびBOEING 747-100Fには機首に軍用機のようなSHARK MOUTH(鮫の歯)が描かれました。
(さすがに民間機には相応しくないという理由で?すぐに消されてしまいました)

貨物ラベル
"Cargo Label", Flying Tiger Line

023はFTL社のIATA航空運送状(Airway Bill) PREFIXを指し、OSA大阪(伊丹)発の航空貨物に貼付された貨物ラベルです。

現在PREFIX 023はFTL社を買収したFederal Express (FedEx)に引き継がれています。

FTL社内報「TIGER VIEW」
"TIGER VIEW House organ magazine", Flying Tiger Line

元FTL関係者の方から頂いた貴重な資料です。70年代後半の太平洋線定期便や東南アジア方面チャーター便等の記事が掲載されています。

   

同誌に掲載されていた虎のマスコットキャラクター(社内スキー大会告知)。

 

 

 

 

(番外編) 日本ユニバーサル航空(JUST) 資料室
JUST Memorial Exhibition

日本ユニバーサル航空(JUST: Japan Universal System Transport)はかつて存在したJALグループの国内線貨物専門エアライン。

JUSTは国内長距離区間においてトラック物流に代わる高速輸送手段として設立され、1991年に東京-札幌線にて運航を開始しましたが、
景気低迷により荷況が振るわず、外部要因により事業計画が達成できないという悪条件が重なり、1年強にて運航を停止しました。

BOEING 747-221F JA8160の尾翼に描かれたクジラのキャラクターは2 Letterより「YUちゃん」の愛称があり航空ファンに人気がありました。
YUちゃん(JA8160)はJUST運休に伴いJAL CARGOに移籍し、国際線貨物便として数年間世界を飛び回りました。

本展示室では別館特別企画としてJUSTに関する資料を展示しております。

JUST: Japan Universal System Transport was the Japanese Cargo Airline which once operated domestic cargo flights from 1991 through 1993.
JUST operated one 747-221F JA8160 with uniquie livery. There was original lovely whale character called "YU-CHAN"on the tail wing.
After JUST had ceased operation, JA8160 transfered to JAL CARGO and operated on the international cargo flights through 1995 until repint to the normal JAL livery.

 

JUST YUちゃんぬいぐるみ
"YU-CHAN Stuffed Whale", JUST

JUST YUちゃんテレホンカード
"JUST Telephone card", JUST